荒野のステーキ (2015-10-16)

アメリカ合衆国西部には、同国を代表する国立公園が集中している。そのなかでも、ユタ州とアリゾナ州にまたがるグランドキャニオン、アーチーズ、キャニオンランズ、ブライスキャニオン、ザイオン国立公園を巡るコースをグランドサークルという。とにかく雄大な景色が続き、圧倒される。ラスベガスから出発して、ラスベガスへ戻ってくる一週間のドライブ旅行だ。

広大な荒野をひた走り、西部劇の舞台モニュメントバレーを抜けて今日の目的地に着いた。ここは、モーテル二軒、ガソリンスタンド一軒、民家数軒あるだけの村ともいえない小さなコミュニティ。この世から忘れ去られたようなところだ。夕食は、モーテルの近くにステーキハウスがあるというので、そこへ向かった。小さなステーキハウスは、テーブルのほとんどが野外で、昼間の暑さが夕方には落ち着いてきて心地よかった。

注文したビーフステーキは、見事なアメリカンサイズ。そして、目の前で焼いてくれるのが楽しい。20キロはあるだろうか、ぶ厚い鉄網がブランコになっていて、そのブランコに肉の塊を乗せて揺らしながらたき火で焼く。スウィンギングステーキという。目の前でゆっくり炙っている肉の塊を待っていると、バンド演奏が始まった。この小さなコミュニティのほぼ全員がメンバーでカントリーを唄ってくれる。そんな楽しい夕食が終わるころ日が暮れて、ひと気のない荒野に降り注ぐような星空が広がった。