この春のドロミテは、雪が多くコンディションが良かった。セラロンダは、豪快な大岩壁にふちどられたセラ山群を一日で一回りするスキーで、時計回り、反時計回りがある。そのため、2日間にかけて滑走することになる。目を見張る景観の中、最新のリフト(今年はヒーター内蔵革張ソファのリフトが登場)やゴンドラを乗り継いで、滑走を繰り返す一周は標高差およそ5,000m、滑走距離約23kmにおよび、四つの峠と三つの村を通過する。これは最短コースで、多くのスキーヤーは圏外の宿泊地からスキーコースをつないで合流したり、寄り道して派生するスキーエリアを滑走したりするため、さらに滑走距離は長くなる。
私たちは6日間の滑走中、セラロンダのほかにマルモラーダや、ひさしぶりにコルチナダンペッツォへも足を延ばした。コルチナは、いまや過去のリゾートだ。スキー設備は旧式のまま老朽化し、スキー客も振るわない。ただ、北面にあたるトファナのコースは素晴らしく、私たちは半日で見切ったが、がんばれば一日二日程度なら充分楽しめるだろう。
一方、マルモラーダは、決して古くはなかったゴンドラは、最新のものに架け替えられていた。私たちの滞在する村から、マルモラーダへはいつもタフな一日となる。朝のできるだけ雪の良い時に距離を伸ばし、午後の腐った雪のバーンを重い足どりで休み休み帰ってくる。
今回で15回目となったドロミテスキー。コンディションに助けられ、6日間合計標高差33,000m、滑走距離180kmは私たちの記録となった。同行していただいた、タフで素敵なメンバーのみなさまに感謝します。