南米最南端のパタゴニアは、山と海の選ばれた冒険家たちの舞台だ。
山々は、花崗岩の大岩峰となって、ありえない傾斜の氷の帽子をかぶる。偏西風が咆哮し、山も海も荒れ狂う。嵐の大地と呼ばれるゆえんである。
そんな登山家の究極の舞台に、僕は航空会社のパタゴニアモニターツアーで訪れた。
日本からアルゼンチンのブエノスアイレスまで乗り継いで二日以上かかるが、問題はない。往復ともビジネスクラスなので。さらに、パタゴニアのカラファテまで僕たちだけのチャーター機で一日。高級ホテルに泊まり歩き、ペリトモレノ氷河の観光や、フィッツロイ山群のみごとな山容をながめたり、広大な牧場でアサードとよばれる豪快なバーベキューをごちそうになったり。僕にはおよそ似つかわしくない贅沢な小旅行に飽きた頃、さらに南下した。終着地はマゼラン海峡とビーグル水道にはさまれた火の島、フエゴ島となった。荒々しい海や、そこから立ち上がる氷雪の山々を眺めていると、とうていかなわないような自然に思えてきた。
帰りは、たしかサンパウロでも遊んできたような気がするが、覚えていない。
写真は、海の冒険家たちの休息地 ウシュアイアの近く。この日は、めずらしく風がやんでくれた。
古いポジフィルムをデジタルデータで。