2022/12/17 (土)
わたしの住んでいる小樽市赤岩は、南に小樽港や石狩湾を望む市街地が広がり、北には遊歩道の通る山と日本海に面した景色の良い断崖が連なります。断崖の入り口まで、歩いて15分ほどです。
ここは、北海道随一のロッククライミングの岩場であり、ロッククライミングの練習場としては日本有数のスケールの岩場のひとつです。夏は爽快なスポーツクライミング、冬には、日本海から直接吹きつける季節風のおかげで、厳しいミックスクライミングを楽しむことができるのです。(ミックスクライミングとは、おもに冬の岩壁登攀。岩壁に氷雪が付着し、アイスクライミングの技術や用具が思うように使えず、手で雪を払いのけホールドを探る。足にはアイゼンを装着する。きわどい場面が多く、登攀は遅々として進まない)。
北海道の岳人は、まずここで岩登りに入門し、ここで鍛え上げられ、世界の山々へ向かう。そういうところです。
わたしは、赤岩の山と海のコントラストに惹かれ、大学山岳部の頃からロッククライミングをはじめて、登山ガイドをなりわいとしたこともあって、ここに住んでいます。そういうと、まるでわたしがロッククライミングの達人に思われることもあるかもしれませんが、わたしは、決してそうではありませんでした。しかし、この連載の古い写真に登場するのは、わたしを垂直の世界にいざなってくれた真のクライマー達です。
一緒に登攀した仲間たち、岩のにおい、吹き抜ける風、刻々と変わる海の青、ひとつひとつのルートのホールドやプロテクション、いつも鮮やかに思い起こされます。それは、いつまでも色あせない、私の心のなかのafterglow。