わたしの住んでいる小樽市赤岩は、南に小樽港や石狩湾を望む市街地が広がり、北には遊歩道の通る山と日本海に面した景色の良い断崖が連なります。断崖の入り口まで、歩いて15分ほどです。ここは、北海道随一のロックク...
赤岩には、難易さまざま、初級者から上級者まで楽しめるルートが多数あります。岩登りの難易度は、入門クラスの三級から始まり、中級の目安の四級、上級の目安の五級と数字が大きくなるほど、難易度が高くなります。い...
ザイル(登攀用のロープ)の長さは、通常45mから50mです。ルートは、ザイルのスケールで一回一本分以下の高さのものを1ピッチと呼びます。ルートは、この1ピッチ分の高さから、2ピッチ、3ピッチから7ピッチまでと連続する複...
ザイルを使用して、岩壁を下降することを懸垂下降といいます。アプザイレンというドイツ語やラッペルというフランス語も登山用語として浸透しています。ザイルを二つ折りにして支点にかけて行うので、50mのザイルを2本...
よく晴れた日の赤岩を攀じる(よじる)ことほど、爽快なことはありません。攀じって(よじって)いるときは夢中で緊張も強いられますが、岩壁のなかでリラックスすることもできます。風が波の音や潮のにおい、草木のにおい...
厳しい。とにかく厳しい。冬の赤岩は、夏の爽快なルートが一変する。吹きつける季節風や寒さが厳しいのではない。ルートが厳しいのだ。たいていのルートが、まったく歯が立たなくなり、手も足も出ない。手袋をはめてつ...
チムニーは、英語で煙突を意味しますが、岩登りではからだが入ってしまうほどの幅の岩のクラック(割れ目)を指します。よくある岩の形状でルートにとられることが多いものです。ただ、攀じる(よじる)のは易しいことのほ...
難儀するチムニーの登攀(とうはん)は、あまり深く中に入らず、大胆にも空間にからだをさらけ出すほうがうまくいくようです。ただ、プロテクションが取りづらいので、充分な力量をもって取り付かなければなりません。
海岸を西に向かうと、やさしいダブルアックス技術(氷壁登攀技術)が使えるルートがあります。何度も一人で通いました。海岸で大きなトドを見かけたことがあります。海岸から山頂を越えて帰る、冬のハイキング。
ルートは、一概にはあてはまりませんが、傾斜が増すほど難度が高くなることが多いものです。頭上に覆いかぶさってくるオーバーハングは、クライマーにとってチャレンジそのものです。それがめったに登られないひと気の...
冬。日本海からの季節風で、パートナーの長いビレイ(安全確保)のあいだに、からだは凍えきり、グローブをはめた手はパンプと凍った岩の冷たさから感覚はなくなります。しかし、不思議と寒いとおもったことはありません...
東大壁。およそ100メートルほどの、赤岩でいちばん大きな岩壁です。ザイルにぶら下がる懸垂下降ののち、ルートに取り付きます。そのため、登りきらないと帰ることができません。奥のルートへ行くほど隔絶感が高くなり、...
冬。海岸から山頂へ至るハイキングは、景色が良いうえにいい運動になるので、何度も一人で通います。一帯の景色は素晴らしく、急斜面に奇岩、岩塔が立ち、森にはエゾマツがあります。やさしいから、一人でも大丈夫だと...
冬の岩壁。氷壁のダブルアックス技術が使えず、凍てついた岩壁をグローブをはめた手と登山靴に装着したアイゼンで登攀(とうはん)することを強いられたとき、最高難度の岩壁登攀となります。なにをするにも、のろまで、...
ふつう、クライミングは手足を駆使してバランスを取り、自身の身体能力を最大限に発揮して行います(フリークライミング)。それに対して、人工登攀(じんこうとうはん)は、登攀用のあぶみ(携帯の縄はしごのようなもの)と岩...
写真は、東の小岩塔のひとつ、馬の背。クライマーは、たぐいまれなセンスをいかんなく発揮する10代の頃の佐々木大輔さん。世界の山々での極限のスキーはもとより、シールドやフレネイ、カシンリッジほか、素晴らしい登...
登山ガイドたちが技量をみがくのに、北海道では赤岩ほどの適地はほかにありません。暇さえあれば、ひたすら赤岩に通いつづけます。飽きもせず登っても、登っても、こなせないルートやできないことは、尽きません。クラ...
東のえびす岩と大黒岩。高さ50mほどの岩塔が二つ並びます。ここへは、胎内巡りと名付けられたハイキングコースをたどっていきます。岩の間をくぐったり、はしごを降りたり、ちょっぴりスリルのあるハイキングコースです...
冬になると、めったに訪れる人はいません。風雪にあたり、ひと気のない赤岩にいると、どこか標高の高い冬山にいるようです。大きく違うのは、日本海の荒波が大きな音を立てて、絶えず打ち寄せていることです。
高難度のフリークライミングのルートは、何度もザイルにぶら下がりながら反復練習をします。反復しながら、少しずつ岩にあった動作を身につけていきます。自分には、難しすぎてこなせないルートもたくさんあります。
登攀(とうはん)では、クライマーはただ登るだけにとどまらず、安全確保のための支点の取り方やザイルの扱い方にも習熟しなければなりません。それが自分自身とザイルパートナーの安全にもつながるからです。そのため、...
秋は、10月中旬頃から木々が色づきはじめます。カラ松、広葉樹、そして、うるしが山を彩ります。うるしは、赤岩ではどこにでもあるので、気をつけなければなりません。夢中で攀じる(よじる)あまり、触れたことにも気づ...
中赤岩のエリアに、奥リスと名付けられた岩があります。足元はちょっとした広場で、ルートもよく整備されているので人気があります。取りつきやすいので、入門コースではまずはじめに攀じる岩になるでしょう。
春になると、遊歩道には、カタクリやエンゴサクが咲きはじめます。それから、山のあちらこちらにヤマザクラが目立ちはじめます。やがて、カメの木の白い花、紫のヤシオツツジが咲きはじめるとともにエゾハルゼミが鳴き...
東へ遊歩道を歩くと、やがてドーナツ型にくり抜かれた窓岩が見えてきます。訪れた人でしたら、特徴あるその岩は、誰しも目にしているはずです。窓岩の登攀(とうはん)はザイルのスケールでおよそ5ピッチのルートで、赤...
冬のトレーニングで登攀(とうはん)を終えて山頂に集った山岳部の部長と後輩たち。このとき、わたしはすでにOBでしたが、さらに30年が経ちました。北海学園大学山岳部に入部し、はじめて先輩方に山を教わったのも赤岩でし...